【儀式3】


「足を上に抱きかかえていて」
「はい……」
 わたしは桜の両足を持ち上げ桜の頭の位置まで押して、桜に両足を両手で抱きかかえさせた。
 こうすると孔が真上に向く。

「それじゃあ、始めるわ」
 桜の穴に右手の中指を1本だけ入れてみる。
 中はぬるぬるして暖かい。
 さらに奥まで指を入れて孔を広げる。
 そしてゆっくりと指を出したり入れたりする。
 今度は人差し指と中指の2本を孔に入れる。

「……いっ……」
 いったん手を引き抜くと、3本の指を束ねて孔に挿入した。
 痛みが大きくなったようだ。
 桜の顔が苦痛を浮かべる。

「……あっあっ……」
 桜が悶える。
 そして桜の膣をかき混ぜると、ゆっくりと穴から指を引き抜く。
 ねっとりした透明の液体が指にまとわりついていた。

「すごいわね、桜のココ、こんなにこれならうまく入るわね」
「そんな、恥ずかしいこと、言わないで……」
 用意してあった珠を手に持つと濡れた秘裂にあててみる。
 濡れているため楽に入る。
 わたしはさらに奥へ珠を押すと孔がさらに広がる。
 珠をねじるように押し付けると子宮近くまでは入った。
 しかしここからが難しい。
 さすがに子宮の穴はきつい。
 珠をねじるようにして入れる。

「……うぁっ……ぐぅ……」
「我慢して!」
 挿入した右手をぐいっと突き下ろす。
 珠が、桜の孔に侵入する。
 抵抗が強い。
 しかし、垂れ落ちるほどの量の熱い液に助けられ、徐々に桜の孔は掘り進められてゆく。
 桜から愛液が溢れ出し、お腹の上まで流れ出している。

「━━━━━━……あっ………はあ、はあ……━━━━」
 桜は声が出せない。
 それでもわたしは無理やりでも押し込もうとする。

「あうっ、いっ…………」
 桜は大粒の涙を浮かべて苦しがっていた。
 声を出さないのは、わたしに遠慮してのことであろう。

「もうちょっと、あと、もうちょっと」
 震える手で珠を押した。
 心拍数がドキドキと高まる。
 珠の中心の直径の大きいところが子宮を超える。
 さらに押し込むと今度は簡単に中に入ってしまった。

「ふぅ、奥まで入ったわ」
 さらに指で奥へ押し込むと、珠が桜の中枢まで到達する。
 子宮に潜り込んだ珠は、不気味な冷たさを子宮に与えていた。
 珠が目的を達成したことを確認すると、わたしはゆっくりと秘穴から指を抜く。

「それじゃあ、これから『封魂の珠』を作動させるわ。
 珠が完全に桜の意識を吸収したら、わたしが『Ende』と唱える。
 ライダーはそのタイミングに合わせてちょうだい」
「了解しました、リン」
「それでは、始めるわ」
 そう言うと、わたしは『封魂の珠』を作動させた。

「Anfang(開始。)」
 その瞬間、桜の胎内から魔力が溢れる。

「━━━━あっ━━━━……がっ!!」
 突然、桜の体が大きくのけぞった。

「━━━━━ああんっ!……いや、いやあ!━━━━」
 桜は全身から汗を吹き出し、桜は張りさけんばかりの絶叫をあげた。
 爪が真っ白になるほど力を込めて拳を握りしめている。

「━━━━━━ひぎぃっーー!━━━━━━」
 桜が目を剥いて飛び上がる。
 珠が断続的に桜に激痛を与えているようだった。
 その度に桜はばね仕掛けの人形のように飛び跳ねる。

「があっっ!━━━━━ぐがぁぁ!━━━━━ごおっっ!」
 この世のものと思えない程凄まじい声で桜は泣き叫ぶ。
 のけ反り、のたうち回り、その手脚を暴れさせる。
 身体を二つに裂かれるような激痛と、内蔵を掻き回される不快感が全身を駆けめぐる。

「リン!これでは桜が壊れてしまいます」
「黙って見てなさい、ライダー」
 わたし自身、正視して見ていられなかったけど止めることは出来ない。

「ぎゃおおっ!━━━━━おごおうっ!━━━」
 桜があげる悲鳴は、獣のそれだった。
 髪を振り乱すように何度も頭を振り、逃れられない激痛に全身を激しく悶えさせる。 
 いつのまにかその体は湯のような汗でびっしょりと濡れている。
 苦痛のあまりなにも見ることのできない両の瞳は焦点を失い、大粒の涙が止めどもなくポロポロと溢れている。
 そして、今その肉体を責め苛んでいるのは、1つの小さな珠であった。
 だが、しだいにその動きも緩慢になっていく。

「━━━━━━━━━っ━━━」
 桜の絶叫は止まったが、いまだ大きく見開かれた瞳からは涙が溢れ続けている。
 桜は顔をしかめて大きく口を開いている。
 絶叫したくても声が出ない。
 桜は声を出すことすらできずに、口をぱくぱくさせていた。
 桜は動かない、いや動けない。
 珠が桜の神経を侵し始め、自分の意志で身体を動かせなくなっているからだ。

「━━━ああ……あはぁ……くう!━━━」
 だが珠が送り込んでくる痛みが、それまでとは全く違ったものに変わっていった。
 ひたすら苦痛を訴え、涙をこぼしていた桜の表情に明らかに悦楽の色が滲み始める。
 しかし桜は、まだ本能の部分で抵抗していた。
 頭では理解していても珠に意識を侵される恐怖がそうさせてしまうのだ。
 だが、絶え間なく襲う珠の魔力が着実に桜の心を浸食していく。

「━━うむぅ!はぐ、あぐ、んむむうぅーっ!」
 桜は辛そうに喘ぎながら身悶えていた。
 仰け反らせたままの頭を切なげに振り、眉を寄せ額には脂汗が浮いている。
 かぶりを振り、快楽を必死に拒絶する桜の口から涎がこぼれ始めた。

「━━んっくぅうっはぁはぁはぁ━━」
 白っぽかった肌が、ほのかに上気している。肩口から二の腕にかけて鳥肌がたっている。
 桜が身体をくねらせてせつない声を漏らした。

「あはあっあっあぅ━━━━━━」 
 次第に身体は性的快感を受け入れはじめた。
 大きく開いた股間の奥で桜の陰唇が激しく開閉している。
 やがてトロリとあふれ出した愛液が糸を引く。

「━━━あはっ━━━いっ━━いいっ━」
 とうとう桜は快楽に屈したみたい。
 桜は幼児に戻ったような歓喜の表情を浮かべると、身体を大きくくねらせる。
 快楽を受け入れることで珠からの拘束が無くなった。
 代わりに珠はより桜の心の深い部分に根を張り支配を強める。

「━━ひぁっ…………あっああぁぁっ━━」
 喉の奥から絞り出すような甲高い声を上げて身悶え、口の端から涎が何本も糸を引いて落ちた。
 性器は充血し、そこだけが別の意識を持っているかのように蠢いている。
 膣腔は痙攣に似た収縮を繰り返し、桜の期待を物語るかのように大量の愛液を流していた。
 耐え切れぬほどの快感が全身を走り、無意識に桜は腰を小さく上下させている。

「ひぃ………はっ、はあんん━━」
 桜の腰ががくがくと踊り始めた。
 愛液をダラダラと吐き出し、せつなそうに膣腔がすぼまる。

「━━━━ひぁ、あぁぁ━━━━ふあぁ━━━━あ、あっ」
 わたしは、恍惚の表情で悶える桜を無言で眺め続けていた。
 その表情に見えるのはただ陶酔した表情のみで、瞳には何も映していない。
 恐らく、今の桜にはわたしやライダーの存在など認識できていないだろう。
 秘所から溢れ出す愛液を診察台に飛び散らし、膣を痙攣させながら狂ったように激しく腰を振り乱す。

「━━ぁ、あぁ……ぁあん━━━━ぁ━━━━」
 桜は鼻にかかった声をあげ、膣腔から愛液を溢れさせる。
 包皮を押しのけて、陰核が頭を覗かせていた。
 苦悶しながら味わう快感に、とても桜とは思えぬ表情を浮かべている。
 それはわたしの知らない淫靡な牝の姿だ。

「━━おごうっ!━━━━━━おう━━━おっ!━━━━━━おうごぉ!━━━━━」
 再び獣のような叫び声が桜の口から漏れる。
 異常なほどに鋭敏にされた性感帯が刺激されている。
 それは今まで感じたことの無い快楽で、桜にとっては拷問に近い。
 いや、それはまさしく拷問だった。
 珠が常人であれば発狂するような快楽を桜に与えているのだ。

「━━━━━━んっ、んあぁぁぁぁぁぁぁあ!!━━━━」
 桜は背中を弓なりに逸らし、両脚をぷるぷると震わし、マグマのように流れ出した愛液が桜の艶かしい太ももを濡らす。

「Es last frei. Werkzeug!(解放、道具!)」
 珠が完全に桜の意識を掌握した。
 わたしは儀式の最終段階に来たこと確認すると珠を解放した。

「━━ああっ、ああっ━━━━ぁぁぁぁあああっ━━━━━━━」
 珠が桜を吸収し始めた。
 その瞬間、桜の目の前が真っ黒になって全てが塗りつぶされていく。
 桜の僅かに残っていた理性も全てを吸収する闇に飲まれてしまった。
 この世のものとは思えない叫び声を上げ、折れてしまいそうなほど背中を弓なりに逸らして桜は絶頂を迎える。
 呼吸が、心臓までが止まったように桜の中の全てが停止した。
 感じられるのは不思議なくらいに大きく響き渡る血脈の音。
 それから、子宮で蠢く珠の胎動。
 桜は目を大きく見開き、壊れた自動人形(オートマタ)のようにがくがくと背中を震わせながら崩れた。

「━━━━━━━━今よ!!
 ━━━━━━━━Ende(終局。)━━━━━━━━」


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