【カレン:獣姦】



 そして四日目の夜、カレンは柳洞寺の裏山に向かうことにした。
 ここに来れば、あの獣達がいるはずで、出会えばなんらかの変化があるかもしれない。
 もしかしたら、アレに殺されることでこの閉じた世界から抜け出すことが出来るかもしれない。
 破滅的な思考だが、殺されても蘇ってしまうこの世界では、死は眠りと同義だ。
 そして、自分の存在意義はこの狂った世界の破壊に他ならない。
 そう、カレンは考えていた。
 そして、月が頂点にさしかかった時────

「……!!」
 カレンはその気配を感じずにいられなかった、どす黒い殺気を。
 カレンが辺りを見まわすと、そこにはすでに黒いナニかが現れていた。

『        』
 ギシギシと軋みながらソレは吠えた。
 可聴域外の周波数。
 人間には聞き取れない声で、ソレは確かにうねり吠えた。

「あの夜、あれだけ殺されたというのに、まだこんなに沸いて出てくるとはゴキブリなみの生命力ですね、ある意味感心します」
 カレンの周りにはすでに数十体の黒い四つ足の生物、まさしく獣と呼ぶにふさわしいものどもが邪悪な目をカレンの方に向けている。

 “願いを叶えろ”
 不快な囁き。
 以前ならば、衛宮士郎以外には何の関心も持っていないはずの獣達が、どういう訳がカレンにその目標を変えていた。

「それを言うべき相手はもういません、言うべき相手を間違っています」
 カレンはその姿に恐れることもなく、慇懃無礼に返答する。

 “願いを叶えろ”
 それでも、繰り返しカレンに囁き続ける獣達。

 “願いを叶えろ”
「判らないのですか?
 私では衛宮士郎の変わりにはなれない」

 “コロシテヤル”
 理由のない増悪。

「所詮は犬畜生と言ったところですか、もはや人の区別も出来なくなるほど摩耗してしまったようです、やはり無駄足でしたか」
 獣が頭をあげる。
 ギチギチと爪を鳴らし、這うように襲いかかってきた。

「なぶり殺しというわけですか、下劣な者達ですね」
 しゅるり、と衣擦れの音がする。
 カレンは赤い聖骸布を渦巻かせた。
 四方から一斉に振るわれる爪を、聖骸布が受け流しくるまれ退かせる。

「くっ……」
 聖骸布は意志を持つ蛇のように、襲いかかってくる獣ども防いでいた。
 だが、聖骸布で対抗するも多勢に無勢。
 周りを囲まれ、逃げることも出来ない。
 そして、聖骸布には殺傷能力はなく、カレンにはそれ以外の術を持たない。
 絶望的な戦いとも呼べないものは、呆気なく終わりを告げる。

「あっ!……」
 体制が崩れた所に、体重をかけて獣が背後からのしかかってくる。
 あっという間に、カレンは地面の上に押し倒されてしまった。
 獣はカレンよりはるかに力が強い。
 カレンはあっけなく獣に押され、四つん這いになってしまった。
 獣がその上に覆い被さってくる。

「ぅ……くっ……!」
 抵抗出来なくなったカレンに、獣が右腕を無造作に振り上げる。
 獣の右手の爪が、カレンに向かって振るわれると、纏っていた服が切り裂かれた。
 服と同時に肌も切られ、カレンが苦痛の声を上げる。
 唸り声をあげながら更に獣は爪を振うと、カレンの服をズタズタに引き裂いていった。
 肌のあちこちに爪で裂かれた傷を刻み込まれ、カレンが苦痛に表情を歪めた。
 だが傷そのものは浅く、出血もさほどではない。

 ハッハッハッ────

「何っ?……何なの?……」
 獣の息が荒くなってきた。
 カレンの腹部に、何か熱く脈打つものが当たった。

「え……こ、これは……」
 振り返ったカレンの目に、信じられない光景が写った。
 赤黒い、竿のように長大なものが、獣の股間からぬっと伸びていた。
 表面は赤黒く、何本もの細い血管が走っていた。
 それは獣のペニスだった。
 それは人間のそれに比べて異様なほど長く、びくびくと脈打っている。
 ただ、人間のペニスが皮に包まれた感じなら、獣のペニスは表皮を剥がされた内臓むき出しのように見える。
 カレンは、獣が何を求めているのかを瞬時に理解した。
 カレンの胎内に入りたい、カレンと交尾がしたいのだ。

「いいでしょう、それが貴方の望みならば、私の躯を使ってくれて構いません」
 そう言うとカレンはあっさりと抵抗をやめ、四つん這いの体勢で獣を受け入れる用意をした。
 カレンは、自分自身を他者ための道具としてしか見ていない。
 殉教する聖者のごとく、その精神は自己犠牲の塊といってもいい。

「んっ!……」
 突き出した尻に、獣の躯がのし掛かってきた。
 のし掛かってきた獣は、腰をガンガンと激しく押しつけてきた。
 何度も何度も、カレンのワレメに獣のペニスが押しつけられる。
 だが、なんの準備もされていないカレンの秘裂には、あまりに無理がある。

 グリュリュリュッ

「ひ…………っ!」
 獣のペニスがカレンの胎内をこじ開け、押し入ってくる。
 いくら覚悟が出来ていても、その苦痛までも受け入れることはできない。

 グリュッ、ズッ、ズブリッ

「うああああっ!…………」
 絶叫するカレンの激しく蠕動する胎内に、ねじれた肉が深く押し込まれた。

「ひあっ!……あっ!……ああっ!……」
 ヌルヌルする肉の棒が、カレンの中を深く刺した。
 串刺しにされたような錯覚が、お腹の奥まで届いている。
 激しく腰を振りながら、荒々しく動き藻掻くカレンを深く征服していく。
 赤黒い肉棒が、カレンの奥をゴツッゴツッと叩き、秘裂を擦りあげ中を刺激してくる。
 刺激が躯の奥を突き秘裂を刺激し、のし掛かる獣の躯の感触が、激しい屈辱をカレンに与える。

「だめ……やあ………だめえっ!………」
 喘ぎながら藻掻くカレンに、獣は腰をさらに激しく振りたてる。

「はあああっ、あっ、あぁん!……」
 今まで経験したこともない、人間ではありえないスピードで動いている。
 獣のペニスが、カレンの胎内で子宮口を突いているのがわかる。
 今まで子宮口にペニスが当たるなど、経験したことが無い。
 今まで感じたことが無い快感が、カレンの胎内からこみ上げてくる。

「ああぁんっ……あっ!……あっ!……あっ!あぁっ!ぁん……んん!?」
 獣の動きがだんだん小さくなってきて、ゆっくりと腰を押しつけてくる。
 何か大きなモノが、カレンのの膣口を押し広げて入ってこようとしている。

「ああぁっ!……あっ!……あぁぁぁぁっ!……あぁぁっ!」
 深くはまり込んだペニスは、いきなり倍近く膨らむ。
 カレンの中で限界にまで広げられていた膣がさらに広げられる。

「うぅぅっ………中で、中で膨らんでる!?……」
 限界にまで膨れ上がったペニスの瘤が、カレンのGスポットを刺激し続けている。
 カレンは獣とつながったまま、身動きできなくなった。

 ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ

「ん……うぅっ……んんっ!……ぐうぅ……あああっ!」
 カレンの胎内で獣のペニスが急激に膨らんでいく。
 膣口が裂けそうなくらい広げられる。
 猛々しく伸びたペニスが、柔らかな秘裂を暴力的に広げ貫き貪る。
 膨らんだペニスが、奥深くはまり込みアソコがはじけそうに膨らむ。

「……あっ……」
 カレンは大きな塊の正体に思い当たった。
 あれは犬のペニスの根元にある瘤だ。
 犬は、交尾のときペニスが抜け落ちないようにするために、根元の瘤が膨らみ栓のようになる。
 雄犬が精液を無駄なく雌犬の膣内に射精しようとするために、ペニスの根本を膨らませて、雄犬と雌犬の結合を離れさせないようにする。
 それによってペニスが途中で抜けたり、精子が流れ落ちないようにするためのものだ。
 それと同じモノを、この獣も持っていたのだった。

「いや、やめてっ、いやあああああああっ!」
 獣は腰を痙攣するように振りまくり、カレンを奥底から揺さぶりのたうたせた。
 泣きながら腰をくねらせ逃れようとするが、それはがっちりとカレンの最奥に食い込み、獣から離れることは出来ない。
 獣の脈動が早まる、
 腰が激しくぶつけられ、躯が揺さぶられる。
 あそこが膨らみきって破裂しそうになる。

「ひぐっ!……うぐぐぐっ!うあっ!……」
 カレンの膣はその大きさを、受け入れることが出来そうになかった。
 しかし、それでもなお獣の生殖器は奥に進もうと、カレンの子宮への扉を押し開き聖域に雄の生殖器を侵入させていく。

「……ひっ……痛いっ!……痛いっ!…………」
 カレンは悲鳴を上げる。
 流石にカレンもこのような常軌を逸した責めには、耐えられなかった。
 しかし、獣は躊躇することなく、一気にその大きな塊をカレンの胎内に押し込んでいく。

「なにっ!?……また大きくなってる………」
 性器の中ほどがさらに膨らむ。
 カレンは逃れられない状態で、なお必死に藻掻き足掻くが、最奥をぶつけられ突き上げられ躯が、腰が砕けて言うことをきかない。
 子宮の奥にまで差し込まれたペニスの先端が動いた。

 ブッシュ――ッ

「ひいいっ!」
 獣は躯を大きく震わせると、熱い液体をカレンの胎内に吐き出し始めた。
 獣の精液が、カレンの子宮にどっとほとばしる。
 カレンの中に、熱い液体が大量に噴射され子宮の中を満たしていく。

「ああ……ダメ…………やめてっ!」
 獣の精液を胎内で受け止めているカレンには、自分の子宮に直に射精されているのが実感できた。

「ああっ………こんなケダモノに、射精されてるっ………ああああっ!」
 獣の精液はおしっこのように勢いよく、何度も何度もカレンの子宮にあたる。
 大量の精液を吐き出した獣のペニスは勢いが衰えることもなく、カレンの胎内に居座り続けている。
 獣のペニスがカレンの中で、ピクピクと痙攣する。

「いっぱい……いっぱい………出てる……熱いっ!………」
 獣の精子は人間の体温より高く、すごく熱く感じられる。
 カレンの膣内は獣のペニスで拡張され、さらに逃げ場の無い大量の精液で広げられていた。
 瘤で栓をされ子宮の隅々まで行き届いた獣の精子は、ドクドクとカレンの胎内に蓄積されていく。

「あぁぁ……いや、いや……あぁぁ……あぁぁ………」
 獣は目を血走らせ、腰を狂ったように振り続ける。
 躯がガクガクと揺さぶられ、外れようの無いペニスが膣を揺さぶり中を掻き混ぜる。
 人ではありえない量がどっと濁流と化して襲いかかり、中に注ぎ込まれていく。
 獣の欲情が繰り返し腰を突き上げ躯を揺さぶった。

「……やめて……それ以上入らない………」
 カレンの言葉も理解せず、獣は射精しつづける。
 ペニスは粘度の高い液体を吐き出し、カレンの子宮に大量の精液が注ぎ込まれる。
 あっという間にカレンの子宮は精液で満たされるが、それでも獣の射精は終わらない。
 獣は思い出したように腰をビクビクと震わせると、カレンの中に射精を繰り返す。
 子宮はすでに限界を超えた精液でパンパンに膨らみ、お腹の上からでもその膨らみが確認できるほどになっている。
 子宮に入り切らない精液の一部は、卵管にまで侵入し、カレンの胎内の隅々まで浸透する。
 カレンは自分の躯全てに、獣の精液に汚染されていくような感覚に陥っていく。

「……もう……お腹……………壊れる………」
 問答無用に子宮内に流れ込んでくる精液。
 カレンの胎内に感じる圧迫感もしだいに痛みへと変わっていく。
 そして、カレンの胎は妊婦のように胎を膨らませていた。

「ああ……やめて………やあ………」
 涙を流しながら、その感覚に躯が応えている。
 凶暴に腰を使いカレンを犯しながら、獣はカレンの胎内に何度も射精していたが、全く小さくなる様子が無い。

「うあぁ………ああぁ……」
 強烈過ぎる責めがカレンの意識を朦朧とさせる。
 自分が何故ここにいるのか、何に対して耐えているのか判らなくなってくる。
 カレンの頭の中は真っ白になり、もう何も考えられなくなっていた。

「……………ひっ!ひゃああああっ!……」
 一度理性の枷が外れてしまうと、堕ちるのは容易かった。
 痛みが急速に失われるのと同時に、今度は激しい快感に変わってきた。
 胎内に納められた塊が膣口内部でとどまり、内部から膣壁をグリグリッと擦ってくる。
 それがカレンに、今までに感じたことの無い快感となる。

「ああぁっ!……あっ!……あぁぁぁぁっ!……あぁぁっ!……」
 獣がピクピクと震え始め、また射精が始まった。
 痙攣するたびに、カレンは膣壁に刺激を受けて喘ぎ声を発してしまう。
 ピクピクと膣の中で小刻みに震え続けている。

「うああッ…………いっぱい入ってくる………ああああううう!」
 獣のペニスから精子を放たれる度に、カレンは喘ぎ声を発してしまう。
 続けざまに獣の精を放たれ、カレンは涎を垂れ流し歓喜に震えていた。

「あひいいいいっ!……だっ、だめえっ!ああっ!………」
 飢えた獣に躯が抉られ、濃い精液を掻き混ぜられて、何度も何度も獣に貪られてカレンは仰け反った。

「おなかがっ、お腹がすごいいっ!……はじけっ、ちゃううっ!」
 獣の精液がカレンの白い躯を奥の奥まで汚し尽くし、本能のままに何度も何度も腰を突き上げる。
 脈動がペニスを震わせ、ぎっちりと膨らんだ膣をゆすり射精が直撃すると、カレンの尻がフルフルと痙攣する。

「はひっ、はひっ、あぐっ、あっ、熱いいいっ!………」
 ガンガンと突きたてる腰、繰り返す脈動に汚され粘膜が震えわなないていた。
 カレンは仰け反りながら喘いだ。

「ひっ、いいっ、あっ、ああっ、熱いっ、すごいっ、まだっ、まだくるうっ!」
 獣がのけぞり喘ぐ。
 犯される倒錯の快感が、理性をやすやすと押し流していく。
 いつしかカレンは獣の動きに合わせ、腰を振っていた。

「いいっ!……もっと、もっとぉぉぉ……」
 しかし、カレンは屈辱を感じることすら無いくらい、何も考えられないでいた。
 射精されると、今まで感じたことがない快感が続く。

「……あはぁ、あああっ……すごい……ケダモノのペニスで……いっぱい…」
 全身が痙攣して震えている。

「ああっ、いいっ、いいっ!……」
 獣姦という背徳感も、快楽の海の中でドロドロに溶けてしまい、全てを受け止めてしまっていた。
 一匹の雌と化して、カレンは獣に犯されていった。

「あああっ……すごいっ……すごっくいいのぉ……ああああああああっ!」
 四つん這いの体勢を支える切れなくなってきた。
 カレンは上体を地面に投げ出し、お尻が高く突き上げる状態になっていた。

「……逝くっ……逝くっ!………」
 異様な感触が、今まで感じたこともない未知の快感をカレンに注ぎ込む。
 ついにカレンは絶頂に達した。
 射精の度に、ピクピク動くペニスにカレンは永遠に続く快感に気が狂いそうになっていた。

「………あっ、ああっ、あうっ、あひっ、そこおおっ………」
 獣が腰を深く打ち込み、ビクビクと痙攣する。
 胎内に残留する獣のペニスに、何度も、何度も逝かされてしまう。

「ああ……こんなの初めて……ああぁ、だめ、気が狂いそう……」
 獣の動きが緩慢になった。
 最初に挿入されて一時間ほど経過した頃、やっと獣のペニスは収縮をはじめた。
 広がりきった秘裂の縁から、漏れでた精液がぼとぼとと滴り落ちる。
 獣は、カレンの割れ目の中にある獣のペニスをゆっくりと引き抜いた。

 ブッシャァ―――

「い、逝っちゃう……逝くうぅっ!」
 躯から力が抜け、地面に倒れこんだ
 カレンの割れ目から、獣の精液が大量に噴き出してくる。
 それは、黒いドロドロとした得体の知れない液体だった。
 だが、カレンは自分の胎内に残されたモノのことについては、知ることはなかった。

「……お願い……もう……やめ、て……」
 しかし、それで終わりではなかった。
 カレンの周りには、まだ数え切れないほどの獣が取り囲んでいた。

 グルルルルルゥゥゥゥゥゥッッ

「無理よ……そんな……」
 日付が変わるまではまだ絶望的に遠い時間があった。
 今までお預けを食っていた無数の獣達が、カレンに一斉に襲いかかってきたのだった。






「あああ………………あひいっ!……ひあっ!……あっ!…………」
 虚ろな目のカレンは、今や狂おしく腰をくねり乱れ続けていた。
 日付が変わった。
 ようやく獣のペニスがカレンの膣から抜け落ちる。
 獣が躯を離すと、カレンはあられもなく脚を開いたまま、ぐったりと喘いでいた。

「…………ぅ……ぁ………」
 大きく開いた口から、かすれた呼吸音だけが漏れる。
 カレンの意識はすでに霞み、眼は開いているだけで何も映してはいなかった。
 カレンの中に入れることの出来なかった獣達は、その泥のような精液をカレンの躯に振りかけ、塗りつけている。
 カレンの白いはずの肌に、そのドロドロとした大量の精液でどす黒く染められていた。

「は、はぁ………」
 すべてが終わったことを知ったカレンは、大きく息を吐いて眼を閉じた。
 カレンの胎内から獣の精液が、一気に吐き出され地面に垂れ落ちた。
 カレンの意識は遠のいていく。
 同時に獣達の姿も消えていく。
 カレンは四日目の長い夜を終えた。


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